住宅を知ろう(改修偏)

 住宅の改修、特に増築工事の場合に多いのですが、耐力壁のバランスを崩してしまい耐震性能が低下してしまうことがあります(耐力壁のバランスは、建物の重心(建物の中心を建物の重量で補正したもの)と剛心(各耐力壁の強度と配置からみた中心)の各要素から偏心率を求め、その値が「0.15以下」のものがバランスがいいとなります)。
 では、なぜそのようなことが起こるのか?
 原因はいくつもありますが代表的なものを幾つか上げてみます。

@  法律上、防火地域等の厳しい指定の無い場所での小規模な改修工事は、確認申請(役所への工事の申請と許可といったものです)が必要でないため、構造計算をせずに工事をする事ができる。
A  建物形状の著しい変化(「□」型の住宅を「L」型にするなど)。
B  建物の劣化を考慮せずに構造計算を行う。
C  計算を感覚でおこなう。

 @の計算をしないはもう論外ですね。
 Cの感覚でおこなう、図面を見て設計者の感覚でバランスを見るのは図面作成中ならよく行ないますが、複雑な住宅なら計算結果を確認しなければ危険です。

 Aの形状変化、元はバランスの良い住宅であったものを増築して形を変えてしまうため、あまりにも形状を変えすぎた為にバランス調整ができなくなることがあります。
 Aの場合は増築部分以外の壁を補強することで対処できますが、余計な工事が増えリフォーム費用が増大します。そのため予算の都合によりバランス確保を断念する場合があります(または考えない悪質なケースも)。

 Bはリフォーム経験のない設計者や新築主体の住宅会社にあることですが、建築基準法対応(新築用)の構造計算ソフトを用いて、既存の住宅部分と増築部分の計算を行なうというものです。
 先の項目で述べましたが、耐震診断を行なう場合には建物の劣化を確認して、壁の耐力の補正(耐力を減少させる)したのちにバランスを見ることになっています。
 新築用のソフトでは劣化による補正には対応していないので、ソフトの計算結果と実際のバランスが異なってしまいます。(一応計算はしているので、あまり過敏になるほどのことではないとは思います。)

 最近の法律改正により、新築や中古住宅の保障関係が強化され問題は少なくなってきましたが、小規模工事に関しては規制が少ないのが現実です。
 当サイトのオリジナルCAD「ANTi-qUAKE S」はシェアウェアですが、試用期間中でも下図のように偏心率を求めることができるので自分の家はどうなのか確認してみるのはいかがでしょうか。

最高のバランス例 バランスを崩したもの
ANTi-qUAKE S ANTi-qUAKE S


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