基礎・地盤の診断について

 立地条件(地盤)と基礎の性能は、建物の性能に影響をしますが建物上部構造の耐震性能とは必ずしも相関していない面があり、軟弱地盤による地震動の割増効果と基礎梁の曲げ体力以外は上部構造の診断に反映させず、立地条件・基礎に関する注意事項として指摘するにとどめています。

  立地条件に関する診断

地盤 施されている対策
よい  
普通  
悪い 地盤改良
杭基礎
対策無し

地盤 施されている対策
よい  
普通  
悪い 地盤改良
杭基礎
対策無し

 地盤の良し悪しや地形が建物に及ぼす影響は、発生する現象により次の3つに分類出来ます。
 □鉛直支持能力の不足(沈下)
 □地震動の増幅効果
 □地盤の破壊
 以下に各現象の分類について解説と注意すべき事項を示します。

 鉛直支持能力の不足(沈下)

 建物の全重量を基礎底面の面積で割った値を地反力といいます。
 地反力が地盤の耐力を上回ると支持力が不足する可能性があり、また、地盤が軟弱な場合、建物に不等沈下が生じるなどの問題が発生する可能性がありますが、耐震性に関しては直接的に上部構造に影響するわけではないため、上部構造の評価には反映しません。
 支持能力に関しては次のようなことが考えられます。

• 地盤の状態が悪い場合や地反力が大きい場合には鉛直支持能力が不足し、
 不同沈下等が生じる可能性がある。
• 地盤の状態が悪い場合でも杭基礎や地盤改良により支持力を確保することができる。
• 玉石基礎→布基礎、布基礎→ベタ基礎といった、より底面積の広い基礎に変更することで
 地反力が小さくなり、 相対的な支持能力を大きくすることができる
 (但し、十分強固な基礎梁により建物上部から伝わる重量が、基礎全体に均等に分散されなければならない)。

 地震力の増幅

 沖積層などの軟弱な地盤において、地表の地震動が基盤より増幅されることをいいます。
 建築基準法においては、軟弱地盤における地震動の割増(令88条2項)として1.5倍に割り増されます。
 本診断法でも同様の扱いとしていて、この項目は上部構造の診断に反映します。
 地震力の増幅と地盤改良との関係について次のような注意事項が考えられます。

• 地盤が軟弱な場合、地震動が増幅される可能性がある。
• 表層地盤改良は地表付近しか改良しないため、地震動の増幅を抑制する効果がない。
• 住宅でよく用いられる杭基礎は水平力を想定していないことが多い。

 地盤の破壊

 液状化により支持力を失う場合とがけ地等が崩壊する場合に分けられます。
■液状化により支持力を失う場合

・ 鉛直支持能力の不足の場合と同様、不同沈下等を生じて使用上の問題が生じる可能性があるが、
 直接的に上部構造の耐震性に影響する可能性は低い。
・ 表層地盤改良を行っている場合であっても、改良体以外の部分が液状化して支持力を失うと、
 問題が生じる可能性がある。
・ 基礎杭においても、液状化した場合支持力が不足する可能性があり、
 また、建物自体が基礎杭により支持されていても、配管類が追従できず使用上の問題が生じる可能性がある。

■がけ地等が崩壊する場合

・ 支持地盤自体が無くなる為、上部構造の性能に係らず、ただちに建物の崩壊・損傷につながる危険性が高い。
・ 崩落した土砂ががけ下の建物を押しつぶしてしまう危険性がある。
・ 傾斜地・がけ地においては、がけ地の状態について検証し、必要な場合は補強についても考える必要がある
(例:コンクリート製擁壁のひび割れ・滑り出し・極度の前傾が生じている場合、
 石積擁壁で石がはらみだしている場合 → 常時の応力に対しても擁壁の強度が不足している)。
・ 適切な保護・養生が行われていない斜面は危険性が高い。

 


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