@ 物件とは
物権とは、物を直接支配して、そこから一定の利益を得ることのできる権利であり、物の利用を目的とする所有権、地上権、地役権
などのほか,債権の担保を目的とする抵当権,質権などがある。
物権は物に対する権利であり、は誰に対しても主張できる権利なので、物権は法律で定められた以外のものを創設することはできな い。
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A 相隣関係
1. 隣地通行権
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所宥者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。 この場合、通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。
但し、土地の分割または一部譲渡により、公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者
等の土地のみを通行できる。
2. 隣地の使用請求
土地の所有者は、境界またはその付近で障壁や建物を築造し、または修繕するために必要な範囲で、隣地の使用を請求することが
できる。
この場合、隣人が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
なお、プライバシー上の問題から、隣地を使用する場合でも、住家への立入りには必ず隣入の承諾が必要となる。
3. 越境してきた竹木の枝・根
隣地の竹木の枝が境界線を越えてできたときは、その竹木の所有者に枝を切除させることができ、隣地の竹木の根が境界線を越え
てきたときは、自分で切ることが出来る。
4. 境界線付近の建築の制限
建物を築造する場合は、境界線から50cm以上の距離を保たなければならない。
また、境界線から1m未満の距離内に、他人の宅地を見通すことのできる窓または縁側(ベランダを含む)を設ける場合は、目隠しを
つけなければならない。
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B 共有
1. 共有とは
共有とは、1個の物を2人以上の者で共同して所有することをいう。
2. 共有持分
各共有者は、共有物に対して持分という割合的権利を有しています。
権利の割合が不明なときは、各共有者は均等な持分を有するものと推定される。
持分自体は、各共有者が単独で有する権利のため、他の共有者の承諾を得ることなく、自由に自己の持分を譲渡し、持分に抵当権 を設定するなどの処分をすることができる。
共有者の1 入が死亡した場合、その持分は相続人に相続される、相続人がいない場合は、持分の割合に応じて、残りの共有者にそ
の権利が帰属します。
また、共有者の1 人が自己の持分を放棄した場合、放棄された持分が他の共有者に帰属する。
3. 共有物の管理
保存行為(共有物の修理、共有物の登記など)各共有者が単独でできる。
利用・改良行為(賃貸借契約の解除など)持分の価格の過半数のみ。
変更・処分行為(共有物の売却、共有建物の増改築など)共有者全員の合意が必要。
4. 共有物に関する負担
各共有者は、その持分の割合に応じて、共有物の管理費用(修繕代など)を負担します。
共有者が1年以内に管理費用を支払わないときは、他の共有者は、相当の償金を支払って、その者の持分を取得することができる。
共有者が、共有物に関して他の共有者に対して有する債権は、包括承継人だけでなく、その特定承継人に対しても行使できる。
5. 共有物の分割
各共有者は、いつでも共有物の分割(共有関係をやめて、単独所有関係にすること)を請求することができる。
物理的に分割することが困難な物の場合などは、共有物を売却してその代金を分けたり、共有者の一人が共有物の所有権を取得し
て他の共有者に金銭を支払う方法で分割することもできる。
ただし、5年以内なら、分割しない旨の特約をすることができ、この不分割特約は、5年以内の期間でさらに更新することもできる。
―重要語句―
包括承継人 : 相続入のように権利義務をすべて(包括的に)承継する者のこと。
特定承継人 : 共有者から持分を譲り受けた者のように、ある者から特定の権利(義務)を承継した者のこと。
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C 地上権
1. 地上権とは
他入の土地において工作物または竹木を所有するため、その土地を使用する権利をいう。
地上権は、地下または空間に上下の範囲を定めて、工作物を所有するための地上権を設定することもできる。
2. 地上権の効力
地上権の存続期間については、当事者間で自由に定めることができ、契約で期間を定めなかったときは、当事者の請求によって裁
判所が20年以上50年以下の範囲で存続期間を定める。
地上権は登記することができますが,地上権者が登記を請求した場合、土地所有者(地主)は登記に協力する義務があります。
地上権者は、地主の承諾を得なくても、自由に他入に土地を賃貸し、また地上権を譲渡することができる。
地代を払わない無償の地上権も認められます。
ただし、地上権者が地代を支払うべきときに、引き続き2年以上支払いを怠ったときは、地主は地上権の消滅を請求できます。
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D 地役権
1. 地役権とは
特定の土地の便益のために他入の土地を利用する権利をいい。土地の便益になるものであれば、目的についての限定は特にない(
通行地役権、引水地役権、眺望地役権など)。
地役権においては、要役地(便益を受ける土地)と承役地(負担を受ける土地)とが存在し、必ずしも隣接している必要はない。
2. 地役権の付従性
地役権は、要役地の便益のための権利なので、地役権は、要役地に付随(付従性)する。
要役地の所有権が移転されたときや、他の権利の目的とされたとき(賃借権や抵当権の設定など) は、原則として、これに伴って地
役権も移転する。
また、要役地から分離して、地役権のみを譲渡し、または他の権利の目的とすることはできない。
3. 地役権の不可分性
要役地・承役地がそれぞれ共有であり、あるいはどちらかの土地が分割されたりした場合、地役権をめぐって複数の当事者が関係
してきます。
このような場合、地役権は不可分一体の処理をすることになっています。
@ 要役地・承役地の共有者は、自己の持分についてのみ地役権を消滅させることはできない。
A 共有者の1人が地役権を時効取得すると、他の共有者も地役権を取得できる。
B 要役地の共有者の1人が地役権の消滅時効を中断すれば、他の共有者にも中断の効力が及ぶ。
C 承役地の所有者は、地役権を行使している共有者全員に対して時効中断しなければ、地役権の取得時効について中断の効力を生
じさせることができない。
D 要役地または承役地の分割や一部譲渡があった場合、地役権はその分割または一部譲渡後の各部分のために、またはその各部
分の上に、そのまま存続する。
4. 地役権の時効取得
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
目に見えないものだと、承役地の所有者も地役権の存在に気づかず、時効中断ができないおそれがあるため、外形上認識すること
ができるものに限られる。
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占有権
1. 占有権とは
占有権とは、物を事実上支配している状態そのものを保護する権利です。
占有権は、物を支配しているという事実そのものから認められるので、それを根拠づける所有権などがなくても、存在することになり
ます。
占有権は、物を自ら直接所持する場合だけでなく、間接占有または代理占有もできます。
2. 占有訴権とは
占有を侵害されたりした場合に、これを守るために裁判所に訴えを起こすことができる権利のことです。
占有訴権の種類
@ 占有を奪われたとき、その返還等を請求する場合(占有回収の訴え)
A 占有が妨害されているとき、その妨害の停止等を請求する場合(占有保持の訴え)
B 占有を妨害されるおそれがあるとき、あらかじめ妨害の予防等を請求する場合(占有保全の訴え)
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